障害者・医療者・スポーツ科学パートナーシップ・プラットフォーム構築プロジェクトに関するミーティング
誰ひとり置き去りにしない医療の実現をめざして
障害者・医療者・スポーツ科学パートナーシップ・プラットフォーム構築プロジェクト
趣旨説明(案)
2014 年 1 月 20 日、日本政府は、障害に基づくあらゆる差別を禁止する「障害者権利条約」を批准しました。「第二十五条 健康」では、障害のある人が無償または負担可能な費用によって医療にアクセスできるということや、保険サービスは近くにおいて提供すること、障害というトピックを医療関係者の教育システムの中に本格的に導入すべきであること、保険に関する差別を撤廃すること、医療者の差別の防止などがうたわれています。
しかし、世界の研究に目を向けてみると、障害を持つ人の多くが充分な治療を受けられていないというデータが報告されています。例えば、重度の精神障害を持つ人々は、先進国では 35%〜50%、途上国では 76%〜85%が無治療ですし、障害を持つ女性は、障害のない女性と比べ、乳がんや子宮頸がんの検診を受けていない傾向にあります。また、知的障害を持つ糖尿病患者は体重管理をしていない傾向があり、性教育から排除されがちです。
褥瘡、尿路感染、骨粗鬆症、疼痛は、予測可能で対処可能な二次障害であるにもかかわらず、適切な治療を受けられていません。また障害者は、喫煙、偏った食事、運動不足など、健康リスクにつながる行動パターンを持ちやすいことも知られています。障害者は医療の進歩の恩恵にあずかれず、置き去りにされているのです。なぜそのような健康格差が生じるのでしょう。WHO の分析によると、国によっては病院を受診するコストが非常に高いことや、障害者のニーズに応える医療サービスがないこと、物理的な障壁があること、医療関係者が障害者に対して偏見や馴染みのなさを持っていること、障害者への医療スキルや知識が不足していることなどが理由として挙げられています。
そこで本プロジェクトでは、障害者の抱える医療的な問題を、障害者本人が広く発信するとともに、その解決に向けて協働する医療者・スポーツ科学研究者とのパートナーシップ・プラットフォームを構築することを目指します。
参加メンバー
メンバー名 所属(2021年11月現在)
1 熊谷 晋一郎 東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷研究室 准教授
2 玉木 幸則 一般社団法人兵庫県相談支援ネットワーク代表理事
3 菊野 弘次郎 東京大学 先端科学技術研究センター 熊谷研究室 当事者研究分野 ユーザリチャーチャー
4 池内 陽彦 東京大学 文学部 4年 (休学中)
5 新田 道子 NPO法人 支えあう21世紀の会 監事 理学療法士
6 林 千惠美 一般社団法人 REAVA(ラーヴァ) 会員
7 渋谷 治巳 一般社団法人 REAVA(ラーヴァ) 理事長
8 鷲見 正敏 医療法人社団まほし会 真星病院 名誉院長
9 三原 久範 横浜南共済病院 整形外科 部長
10 中澤 公孝 東京大学 スポーツ先端科学連携研究機構 機構長
11 緒方 徹 東京大学 大学院 医学系研究科リハビリテーション医学 准教授
12 藤原 清香 東京大学 医学部附属病院 リハビリテーション科 講師
13 平松 竜司 東京大学 大学院 農学生命科学研究科 助教
14 前川 美和子 大阪府立大学 大学院 総合リハビリテーション学 研究科
15 鶴見 晴子 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構医療機器・ヘルスケア事業部 ヘルスケア研究開発課 課長
16 関口 兼司 神戸大学 医学部 脳神経内科学 准教授
17 宮田 広善 姫路市総合福祉通園センター 所長
18 古澤 嘉彦 武田薬品工業 ジャパンメディカルオフィス